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経営者にとって決算対策は大きな関心事ですが、一口に決算対策といっても、例えば、自社の業績をできるだけよく見せたいという側面、納税額をできるだけ低くしたいという側面、当期だけでなく来期以降のことまで考慮しておかなければならないという側面などさまざまな側面を持っています。 いずれの側面を重視するかによって、以下に説明する各種の決算対策をうまく組み合わせて実行する必要があります。

1.決算から申告・納付までの流れ

 

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2.今期の決算予測に基づいた決算対策あれこれ

事前予測によって、予想以上に利益が出ているときは、節税対策が経営者にとって大きな関心事となってくることでしょう。特に最近は法人税率等の引下げが行われているため、どの期の所得になるのかが重要なポイントとなってきます。課税所得の大きさや資金繰り、その他会社の事情を考慮し、会社にとって実行可能で、かつ有効な方法を選択してください。

 

決算対策の方法 税務上の取扱い 対策及び注意点
引当金の計上 引当金計上の要件を満たせば損金算入できます。 退職給与引当金等届出が必要な場合があります。
設備投資 減価償却費が損金算入できますが、期中取得分については、損金に算入できる金額は、月割分だけです。 耐用年数が短い資産の方が効果が大きくなります。
備品の購入 取得価額が10万円未満であれば、損金に算入できますが、10万円以上であれば資産計上が必要です。 取得価額が20万円未満であれば、一括償却資産として3年均等償却できます。
特別償却 特定の企業又は特定の事由がある場合には、通常の減価償却費以上に償却できる特例措置があります。 特例を受けるための要件を検討し、該当する資産を購入することが必要です。
保険の利用 生命保険、損害保険のうち支払保険料の全額又は一部を損金算入できるケースがあります。 養老保険等いろいろな保険商品があるので、福利厚生等本来の目的を考慮して保険商品を決定することが必要です。
消耗品の購入 一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものについては、棚卸資産に計上することなく、その取得時に損金算入できます。 期末時に一時的に大量に購入したものなどは、損金算入できません。
短期前払費用の支払 支払日より1年以内に役務の提供を受けるものについては支払時に損金算入できます。
継続的な適用が必要です。
収益の計上と対応させる必要があるものを除きます。(法基通2-2-14)
決算賞与 損金経理すれば、役員賞与以外は損金算入できます。 期末までに支払うか支給を受けるすべての使用人に支給額を通知した上で決算日から1か月以内に支払う必要があります。
未払金、未払費用の計上 決算期間に対応する費用は実際に支払っていなくても損金算入できます。 債務が確定していることを立証できるよう、請求書や契約書等の資料はきちんと整理しておきましょう。
貸倒損失・貸倒引当金の計上 一定の事実があった時に貸倒損失を計上したり、貸倒引当金に繰入れたりという形で損金算入できます。 回収不能と認められる状況等の把握とその状況を示す証拠資料の整備が必要です。

 

3.翌期の予測に基づいた主な申請・届出書

今期利益が出たからといって有価証券の評価方法を原価法から低価法に変更しようとしても、事業年度開始の日の前日までに変更の届けを出しておかなければ、評価損の計上は認められません。そこで、翌期の予測に基づいて必要な申請・諸届けを当期中に行っておくことも、翌期の決算対策の一つとして忘れてはなりません。
 具体的には以下の提出書類を、提出期限までに、納税地の所轄税務署長に提出します。

届け出等の内容 提出書類
棚卸資産・有価証券の評価方法の変更 棚卸資産・有価証券の評価方法の変更承認申請書
減価償却方法の変更 減価償却資産の償却方法の変更承認申請書
消費税の計算方法の変更 簡易課税制度選択届出書
簡易課税制度選択不適用届出書
消費税課税事業者選択届出書
消費税課税事業者選択不適用届出書

*1.提出期限は、新たな方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までです。

*2.消費税の簡易課税・課税事業者選択届出書を提出した事業者は、簡易課税業者・課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ不適用届出書を提出することはできません。


4.決算手続きで実施する主な項目

決算日を過ぎてまず取り組むのが、次の決算手続です。

決算手続の項目 内   容 留 意 点
現金・受取手形
有価証券等の
実査
期末時点での手持ち残高のチェック及び銀行等の外部に保管されている残高を確認します。 保護預り、担保差入の有価証券については預り証、取立依頼又は割引中の受取手形等については銀行残高証明書等の代替書類で残高を確認します。
預 金 銀行等の預金残高を通帳、銀行残高証明書等により確認します。 残高に差異があった場合には残高調整表を作成し、理由を明らかにし、決算に織り込むべきものは適切に処理しておきます。
実地棚卸 期末に残っている棚卸資産の数量・重量をカウントします。 売れる見込みがないものなどを決算日までに廃棄すれば損金となります。
棚卸資産の評価 最終仕入原価法又は先入先出法等届け出た評価方法で棚卸資産を評価します。 物価下落時には先入先出法は評価が低くなるため税務上有利となります。
売掛金・買掛金
の調整
会社の売掛金・買掛金残高と相手先の残高を照合し、差異がある場合は必要な調整をします。 債権・債務について残高確認状を送付すれば効果的です。
未収・前受・
前払・未払の
計上
収益又は費用が期間対応するように経過・未経過勘定を計上します。 未払費用を計上したり短期前払費用を損金経理したりすれば節税が図れます。


5.決算調整項目と対策上の留意点

課税所得は、株主総会での決議など、最終の決定機関で確定した決算に基づいて計算しなければなりません。そのため、決算で所定の経理処理をしておかなければ税務上認められないものがあります。そのための経理処理を決算調整といいます。 なお、決算調整項目としては(A)損金経理をした場合に限って損金算入されるものと(B)損金経理のほか利益処分によっても損金算入されるものがあります。うっかり、損金経理を忘れてしまったなどとならないように十分注意しましょう。

  決算調整の項目 内   容 留 意 点
(A)










減価償却費の計算 定額法、定率法等届け出た償却方法により償却費を計算します。 定率法は早期に多くの償却費を計上できます。
引当金の計上 貸倒引当金、退職給与引当金、賞与引当金、返品調整引当金等を計上します。 引当金の設定要件に注意が必要です。
繰延資産の償却 任意償却できる商法上の繰延資産(社債発行差金を除きます。)と法人税法上の繰延資産があります。 任意償却ができる繰延資産は、費用が発生した期に全額損金経理することができます。
評価損の計上 棚卸資産、有価証券、固定資産などで評価損を計上できる場合があります。 評価損が計上できる要件に注意が必要です。
圧縮記帳 交換、特定の現物出資等の圧縮記帳 圧縮記帳が認められるための要件に注意が必要です。
(B)
 



















準備金の積立て 海外投資等損失準備金など 申告書に明細書の添付が必要です。
圧縮記帳・特
別勘定の設定
(A)に属する圧縮記帳以外の圧縮記帳等(特定資産の買換えの場合など) 圧縮記帳が認められるための要件に注意が必要です。

6.税務手続きと対策上の留意点

申告調整は確定申告書上で行いますが、例えば、受取配当等の益金不算入のように確定申告書の記載がない限り益金不算入の特典が受けられない項目もあります。これらの調整漏れがないよう注意しましょう。その主な項目は、次のとおりです。 

申告書 区 分 調  整  内  容






損金に算入した法人税、道府県民税、市町村民税
損金に算入した納税充当金
損金に算入した附帯税、加算金、延滞金、過怠税
減価償却の償却超過額
交際費の損金不算入額・使途秘匿金
過大役員報酬・役員賞与・過大役員退職給与・過大使用人給与等
各種引当金等の繰入限度超過額
寄付金の損金算入限度超過額


減価償却超過額の当期認容額
納税充当金から支出した事業税等の金額
受取配当金の益金不算入額
法人税等の中間納付額及び過誤納に係る還付金額等
新規取得土地等の累積損金不算入額の損金算入額
各種引当金の繰入限度超過額の認容額
繰延欠損金・災害損失金の控除額





留保金課税
土地重課(平成10.1.1~12.12.31までの間の譲渡については適用停止)
使途秘匿金課税



所得税の税額控除額
外国税額控除額
リース税額控除等の税額控除額
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